愛知県を拠点に世界と戦っているのは、TOYOTAやSONYなどの企業だけではない。上位選手のドーピングによる失格で複雑な心境の中、「銅メダル」を獲得することになったハンマー投げの室伏広治選手も、親子二代にわたって愛知県を拠点に世界を舞台に戦い続けている。
これで2大会連続のメダル獲得という快挙。地道な努力の積重ねと創意工夫の結晶である。個人的に僕は、かつてスポーツと環境のNPO活動(現在は活動を休止しているが)を推進していた頃、室伏親子にはずい分お世話になった、今回のメダル獲得は経緯はともあれ本当にうれしいニュースであると思う。
一方で、興醒め気味に報道されている「メダル獲得のニュース」を見るにつけ、ほんの2カ月程前までは北京オリンピック開催で、日本中があれほどメダル獲得のニュースに連日沸いたのに・・・、人間の記憶なんて本当にいい加減なものだ、とも思う。
ひとの
記憶はやがて消えるが
記録は永遠に残ると言われている。
かつて父・重信氏(現中京大教授)のアジア記録を広治選手が塗り変えた時のインタビューにこう答えている。
「記録では親父を抜いたけれど、僕はまだ親父に追い付いてさえいない。」
黙々と挑み続けるということ、チャレンジを止めないということは、人間をより賢人に鍛え上げ、謙虚な存在として磨き上げる。その中に、記憶にも記録にも残る存在がごく稀に生まれることがある。
2大会連続メダル獲得、心より祝福します。